3.悪口は攻撃に発展する[6]攻撃行動を起こすストレスは入れ替わる。
悪口は攻撃に発展する[5]が、おおよその群衆が暴動に繋がるメカニズムですが、足りない点があります。
それは、危機迫る災害などが起きてない状態での群衆の暴動です。
なぜ、災害が迫ってないのに、同じような情動反応が起きるのでしょう?
実は、ヒトの脳への入力は2つの入力経路があります。
ひとつは、実際の感覚器官から入る入力で、もうひとつは、思ったり考えたことが事実と同じように大事なデータとして入力される「心因性入力」です。
(詳しくはシャクターとシンガーの情動二要因論などのキーワードで検索してください。)
この心因性入力は、認知思考の領域ですから、悪口差別が入り込む余地があります。
もともといざこざがあれば、災害時に情動判断に切り替わったとき、高度な意思が抑制され、押さえてる敵意が剥き出しになることもあるだろうし、軍事訓練のように教育として一定量の情報を教え込まれてれば、災害時でなくとも高ストレスで暴走は起き得るでしょう。
しかし、なぜこうも、攻撃のメカニズムは入れ替わるのでしょう?
じつは、ここに情動二要因論の重要な側面があります。
ヒトは、お腹がすいても、怪我をしても、緊急事態にあっても、心因性入力で悪口差別を吹き込まれても、すべて青斑核という神経核が刺激されます。
そしてノルアドレナリンが放出され、情動反応が起きます。
つまりストレス反応は、すべて同じ神経回路(A6)によって起こるのです。
どう対処するかは、周囲の状況やこれまでの経験から、選択されるので、必ずしも適切なストレス回避行動が起きるとは限らないのです。
例えば、渋滞中いらだって同乗者と喧嘩したとします。
なかなか進まず遅刻しそうでイラつくのか?お腹が減ってイラつくのか?同乗者が嫌いでイラつくのか?完全な正解は分からないのです。
人は間違って誰かを怒ったり嫌ったりすることが有り得る。それくらいストレス回路は互換性があるのです。互換性というより、全部同じ回路で処理してるので混ざり易いのです。