2.差別のメカニズム〔3〕偏見の生理的メカニズム
ヒトの情動(感情とか気分感覚の根本)は、快情動回路(A10)と不快情動回路(A6)の2つしかありません。
側頭葉内側の扁桃体というところで判断されると考えられています。
食物を得るような「接近行動」は嬉しいことなのでドパミンという快情動を刺激する神経伝達物質が出て脳が興奮します。
危険なものを避ける「回避行動」は嫌なことなのでノルアドレナリンという不快情動を刺激する神経伝達物質がアドレナリンとともに放出されストレス反応を起こし「闘争か逃走」(fight-or-flight response)を起こします。
この情動反応を記憶の主役が扁桃体です。
良い事や嫌なことが、記憶され判断の精度が高まります。
だから1度お坊さんに騙されたり嫌な目に会うと、お坊さんというだけで、嫌な感情が沸いて来るのです。
手酷い目に合ったり、2度3度繰り返し不快な目に会うなら、記憶と学習は強化されるのでお坊さんだけでなく関連する事柄や象徴する服装や特徴まで嫌になるということです。
※なお、この仕組みは偏見の仕組みですが、この予測システムのおかげで人類は生き延びて来れました。したがってこの仕組みそのものが悪いのではありません。予測なので外れた場合不利益があるということ。外れた場合の被害者にとって偏見になる。というもう一段階手順があることにご留意ください。