差別の秘密。

近年日本でもヘイトスピーチなるものが話題になっています。関連してレッテルや決め付けが横行しています。これらの秘密を探るブログです。

2.差別のメカニズム〔5〕定義が現場で役に立たないメカニズム

定義は、本来、データ圧縮のようなもので、共通認識がある同士では非常に便利なものですが、共通認識がない場合役に立ちません。

乗り越えるには共通認識を創って共有するしかありませんが、それには、互いが誠実であることやゆったり落ち着いてることや時間が必要です。

 しかし、相手を対等だと認め誠意を持ってゆっくり時間を掛ける話し合いが出来る同士の間に、差別が存在することは稀です。

人類にとって定義(チャンク化)は、もっとも重要な作業のひとつですが、差別の現場では、実は役に立たないのです。

 

定義は前頭前皮質を中心とした作業記憶を駆使することで作り出され、完成後は、長期記憶に収納され、事実上のデータ圧縮となります。

作業記憶の容量が少ないが故の一手間です。

少ないがゆえに、相手をバカにする気持ちや、固定観念など、無駄な考えを抱えていては成立が難しいということになります。

 

さらに、容量の少なさ以外にも、定義の活躍が邪魔されてしまうシステムがヒトにはあります。

実は、怒ったり興奮すると、作業記憶を使って定義を創ったり、創った定義を対話などで共有したりする高度な意思を担当する前頭連合野が、一時的にシャットダウンされたり抑制されてしまいます。

すぐに回復しますが、その間、「情動判断」(≒坊主憎けりゃ系早まった一般化の原点)の主役「扁桃体」が優位になります。

つまり、差別の現場では怒りや興奮は付き物ですから、定義は一時的吹っ飛んでしまったり、考え難くなって、むしろ差別になってしまう「偏見」(≒坊主憎けりゃ系早まった一般化)の方が表に出易くなってしまいます。

 

 

f:id:fab4wings:20150502095240g:plain

 

 

 <<戻る進む>>