1.差別とは?【4】差別の定義は範囲の絞込み
差別の定義や概念をいくら一生懸命考えて網羅して詰め込もうとしても、膨らめば膨らむほど、理解が難しくなりヒトの脳の機能として、万人に浸透させることは難しいくなります。
であるなら、逆転の発想です。
まず、定義が巨大化しないように範囲を絞ります。
その後、事例を付け加えて膨らませるのではなく、分解整理してメカニズムを考えるのが、当ブログでの定義となります。
グレーゾーンや例外は、どんなことにもありますから、全体像を把握する際は、一旦除外します。
除外する狙いは、矮小化ではありません。
コンパクトに絞ってわかりやすく整理するのが目的です。それは、落ち着いて話すとき、多くの人が共有し易い情報量に納めることを想定してるからです。
中にはとても優秀で私ならすべて理解できるという人もいらっしゃるかもしれませんが、天才が理解するだけでは無意味。多くの人に理解して頂きたい。という目的意識での一時除外です。
まず、範囲の限定ですが「ヘイトスピーチ」と呼ばれるくらいですから、「悪口(≒憎悪表現)」と関連があります。
勿論、犯罪にまで発展したものや、表面上悪口の出ない差別もあります。ただ、これらは、後で別途、どう発展するのか?どう隠されているのか?を補足するだけで説明可能です。
よって、グレーゾーンや例外の一種とみなし一時除外します。
なお、悪口にまったく関係ない差別・差別化というのものは実際あります。
単なる区別や順位付けのような差別化です。
これに、悪口を含ませたり隠したりすることは可能ですが、上記の補足説明で十分説明可能です。
なので上記に含みます。
残った、悪口のない純粋な区別や序列は、無関係と見て除外しても問題ないと思われます。
次に、差別と悪口の関係性を検証します。
悪口には、互いの利益の対立からくる苛立ちの表現や、嫉妬する心情や、敗者の弁など、差別と無関係な領域も多いです。
差別にも、悪口を超えた範囲はありますが、上記のように犯罪化したものや、悪口が巧妙に隠されたものなどについては、補足説明が可能なので、情報量軽量化のために一時除外しています。
逆に、悪口であるけど差別でない利益対立や嫉妬心の方は、典型的悪口のひとつであり、除外するのが難しいです。
であれば、「悪口≧差別」という式が成り立ちます。
次に差別のメカニズムですが、東京人権啓発企業連絡会の差別の定義によると、
「予断」「偏見」だとされています。
これは別の言葉で表現すると、「早まった一般化」や「反証可能性の低い批判」です。
もっとやわらかい言葉で言うなら「風聞風説」や「坊主憎けりゃ袈裟まで憎し」と同じ意味です。
コンパクトにするのが目的ですから、これらを2つの項目にまとめるとこうなります。
(1)差別は悪口の中のひとつの形態「悪口≧差別」
(2)差別の中身(発生メカニズム)は「予断や偏見」あるいは「早まった一般化・反証可能性の低い批判」
イメージとしては、差別の最小公倍数が「悪口」で、差別の最大公約数が「坊主憎けりゃ系早過ぎる一般化」です。
これまでの概念を詳細に積み上げて造り上げる定義論争と違い、限定や整理分解するということは、差別とはどういう仕組みで起きてるのかということの探求です。
つまり発生機序(メカニズム)の解明です。
これまでの定義を積み重ねることは、一般の感覚と乖離していくことと、イコールです。
実は、差別の解明や解決とは、遠くかけ離れてしまったという可能性もあります。
原点に戻って解明や解決という視点を大事にしていきます。